
高度情報化社会の進展と多様なメディアの出現は、読書行動にも大きな変化をもたらしました。
出版界はいま、活字出版文化を振興し、読者に根ざした構造改革を進める必要に迫られております。
当協会は、再販制度を弾力的に運用し、出版流通を改善し、日本出版インフラセンターと商品基本情報センター事業の推進を図り、読者の要望に応える努力を重ねております。
また言論・表現・出版の自由をおびやかすメディア規制に反対する活動、違法フォトコピーへの対策、電子メディアの出版物利用に関わる著作権問題への対応、出版者の法的権利の確立などに取り組んでおります。
国際的な活動としては、国際出版連合(IPA)やアジア・太平洋出版連合(APPA)に加盟し、言論・出版の自由、知的財産権の保護に努め、毎年、東京国際ブックフェア(TIBF)を開催し、国際的な出版文化交流を図っております。
さらに関係省庁との連絡を図り、図書普及・読書推進に関わる関係国会議員や民間諸団体との幅広い連携・協力に努めております。
近年、日本語と読書の問題が国民的な課題として浮き彫りにされてきました。
OECD(経済開発協力機構)の「生徒の学習到達度調査」は、わが国の生徒が読解力と表現力に課題があることを指摘しました。
2004年の文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」では、「自ら本に手を伸ばす子供を育てる」ことをもっとも大きな目標とし、「国語教育」と「読書活動」を二つの柱とし「読書」を中心に位置づけました。
2001年には「子どもの読書活動の推進に関する法律」が制定され、国の「基本計画」が策定されました。
さらに2005年に「文字・活字文化振興法」が制定されました。
同法の基本理念は、すべての国民が「等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備する」ことにあります。活字文化議員連盟は、同法の具体化を図る「施策の展開」を発表しました。
この数年来、読書環境の整備も徐々に進展し、民間の読書活動も多様に展開されるようになりました。しかしながら学校図書館や公立図書館など、総合的な読書環境の整備充実は、今後の大きな課題であり、当協会としても積極的に取り組まなければならない課題です。
活字出版文化は、母語としての日本語を育み、一国文化の基盤を形成してきました。
電子メディアの急速な浸透により言語環境も大きく変容しましたが、メディアリテラシーの観点からも活字出版文化を通して日本語の力を高めることが必須です。
わが国は憲法によって言論・表現・出版の自由が保障されています。
活字出版文化は、この保障の上になりたち、多種多様な出版物は、民主主義を根底から支えるものです。この自由の制限は、活字出版文化の衰弱をもたらし、民主主義社会の基盤を危うくします。もとよりこの自由は、著作者・出版者が社会に求められている活字出版文化を創造することによって保障されるものです。わたしたち出版人は「出版倫理綱領」にのっとり、法的規制に反対し、自主・自立的な規制に取り組みたいと考えます。
当協会は、2007年に創立50周年を迎えます。
この半世紀は、その前史を含め先人たちの努力の蓄積の上にあります。近代の出版の歴史において、特に戦中・戦後は、言論・表現・出版の自由を奪われた時代でした。先人たちは、その自由を取りもどし、多様な出版活動を展開できる出版環境を獲得し、また読書推進を図る歴史でもありました。私たちは、時代と読者の要望に応えるため先人たちの歩みに深く学び、叡智を集め、活字出版文化の向上に努めたいと思います。