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協会の概要

理事長挨拶

理事長 山本憲央

 日本には千年を遥かに超える、世界に誇れる書物の歴史があります。 古来、日本人は本を通して多くの知識を得、思索を深め、心を育んできました。 そして、そんな身近な存在である本を出版界はずっと支えてきています。
 戦後から数十年の間、非常に優れた出版流通システムの恩恵を受けて、出版界は発展してきましたが、 既に売上げ減少の局面に入ってから30年が経過してしまいました。 現在でも、日本は世界でも有数の母国語による出版市場を有している出版大国ではありますが、 出版界は今、本当に多くの深刻な課題に直面しています。

 物流経費や製作費の高騰、低迷を続ける売上と書店数の減少、生成AIの急速な進歩、障害を持った方々の アクセシビリティ確保のための取組み、教育、図書館に関する補償金制度の適切な運用、海賊版への対策と著作権制度の普及啓発など、 枚挙に暇がありません。これらの課題が解決されないと、身近な存在である本を読者の元に届けることが難しくなってしまいかねません。

 その一方で、書店活性化の方策や、海外市場への拡大やデジタル市場への新たな取組みは、 政府を後押しもあって、これから大きく動こうとしています。私たち日本書籍出版協会は書籍出版界を代表する組織として、 率先してそれらの課題に取り組み、解決の助けになる組織でありたいと考えています

 当協会は大小さまざまな規模の出版社で組織されています。各出版社は多彩な分野を網羅し、個性豊かな出版活動を行っています。 そして当協会は、その多彩な出版社が、共有する課題についてそれぞれ自由に意見を述べ、知恵を出し合える「場」でなければなりません。 当協会がそのような「場」であり続けることが、課題解決への糸口となり、結果として出版活動の根幹である「出版・表現・言論の自由」や、 豊かで多様な日本の出版文化を守ることにつながるのだと考えるからです。

 また、当協会が取り組むべき役割として、現在の読者だけでなく、将来の潜在的な読者に、本の情報や読書の喜びを広く伝えることがあります。 生成AIは、我々の質問にそれらしい回答を即座に提示してくれるようになりました。しかし、即座に出る答えが最善のものであるかどうか。 著者と出版社が時間をかけ、内容を吟味し、校正を重ね、信頼すべき知見や情報を盛り込んだ出版物を丹念に読み込み、 あるいは複数の文献を相互比較し、自分なりの理解を深めることによって、 それぞれの読者にとってのかけがえのない知見や道しるべを得ることができるのではないでしょうか。

 メディアの多様化が進み、情報を得るための手段が大きく変わる中で、読者や読書時間が減っているという統計は事実ですし、 本の形は時代とともにさらに多様化するかもしれません。 しかし、水面下には本に期待し、きっかけさえあれば本を読みたいと思っている方がたくさんいると信じています。 もう一度出版の原点にかえり、「本の情報や読書の喜びを多くの人に伝えること」、 そして「出版社が精魂込めて作った本を一冊でも多くの方に届けること」について当協会としてできることを模索して参りたいと思います。

 皆様のご指導ご協力を切にお願い申し上げます。

一般社団法人 日本書籍出版協会
理事長 山本 憲央
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